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第20章 奪われたキス

「へぇ~俺、音大中退。」

キーボードのリュウが、生春巻きを食べながら言った。

「真啓は、秋からコンクールに出場予定なんですよ。」

華はそう言いながら、真啓と見つめあい微笑んでいた。

…えっ。知らなかった。

「凄いじゃん。俺も●●コンクールに出たりしたけど、入賞どまりだったなぁ。練習しなくて良いの?」

華の方をチラチラみながらリュウは言った。

「ええ…ここにはコンサート用グランドがあるので、練習にはぴったりです。入賞なんて凄いですね。」

大人しい真啓と嫌味なリュウが、楽しそうに話していた。華が俺を見ているのに気が付いた。

「あの…歌うの楽しくなりましたか?」

華は小さな声で俺に聞いた。

「うん。どうして?」

華はオリーブとトマト、チーズのサラダを食べながら、真っすぐに俺を見つめていた。

「以前よりもリラックスして歌っているように見えるから。」

皆がそれぞれ興味のあることを話していて、俺が華と話していることに誰も気に留める様子も無かった。春さんの冷製コーンポタージュは、甘くてとても美味しい。

「ときどき息切れを起こすこともあるけど、今はだいぶ良くなったよ。」

華は嬉しそうに笑った。

「それは良かった♪」

…こいつと話してると、つい地が出るから気をつけないと。

俺は完璧なユウヤを演じなければいけない。正直辛い。大きな目をキラキラと輝かせて、物怖じせずに人懐っこい笑顔を浮かべながら、他のメンバーの話を嬉しそうに聞いている。リツはその逆でとても緊張した面持ちだ。

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