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第20章 奪われたキス

皆が楽しそうに話している。あたしはついつい真啓の顔を見てしまうけど、何度か目が合うと真啓はその度に微笑みを返してくれた。恥ずかしくて目を逸らしてしまう。

…諦めなきゃ。だって真啓には好きな子がいるんだもん。

今まで経験したことの無い感じ、寂しくて涙が出そうになり、あたしは慌ててひとりで散歩に出かけた。屋敷の裏の階段を降りて行くと、小さなヨットハーバーがある。健太郎おじいちゃんの船が留まっている。ここは一人になりたい時に来る場所だ。橋げたの上に腰かけて足をブラブラさせた。月が無駄に綺麗だった。

「はぁ~初恋と失恋を一緒に経験しちゃうなんて…あたしってほんと馬鹿。」

独り言を呟くと涙が零れて来た。真啓が好きそうな子を指折り数えてみた。

「あ~っ。両手でも足りないじゃん!!」

…そうだよね。あたしよりももっと可愛い子なんていっぱいいるよね。

体育座りで顔を埋めた。

「おい。」

――― ポンッ。

突然誰かに声を掛けられて飛び上がった。

「わっ!!」

――― バシャン。

次の瞬間、あたしは橋げたから落ちて海の中に居た。

「泳げないっ!!助けて!!」

…失恋フラグからの溺死。

あたしは一生懸命足を動かしたけれど体が強張ってしまって、どんどんと沈んでいく。頭が混乱してどうでも良い事まで浮かんできた。

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