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第20章 奪われたキス

「ゴホッゴホッ…。」

兎に角息苦しいし咳は出るしで話が出来ない。

「大丈夫?」

手をついたまま咳き込むあたしの背中をトントンと優しく叩き続けた。

「ごめんね…そんなに驚かせるとは思わなくって。」

「こわ…か…た。」

あたしは震えながら小さい時に溺れた時の事を思い出していた。ユウヤは、びしょぬれのあたしを抱き上げた。

「風邪ひいちゃうよ。家に戻ろう。」

その手は温かかった。

「ユウヤの洋服が濡れちゃうし…もう大丈夫だから。」

その手は大きくて温かかった。ユウヤは静かにそっとあたしをおろした。
歩くたびにべちゃべちゃと音がした。

…このまま帰ったら叱られる。そうだ。

あたしはハーバーに併設されているシャワールームへと向かった。

「おま…君の家凄いね。」

中に入り電気を付けてシャワーを出して温かくなるまで暫く待っている華に言った。

「春さんの家だから、あたしはあんまり来ないけどね。」

華は湯の温度を手で確認していた。

「夜は誰もここには来ないと思うけど、ちょっと見張っててくれる?溺れたなんて知られたらまた何を言われるか分からないから。今年の夏は水難の相が出てたのね。」

華はカーテンを閉めると洋服を脱ぎだした。

「あ…ちょっと待って今外に出るから。」

俺は慌てて外に飛び出した。

…あの時も?

小さな頃の思い出だ。
プールに浮かぶ綺麗な青い蝶と思ったのは、ドレスを着た華だったのか。

…そうだ。そうだった。

俺は華が溺れた時に、一番初めにそれを見つけ、大人を呼びに言ったんだ。

…俺 アイツを3度も助けてたんだ。

思わず声を出して笑った。

「小さな頃から手が掛かる奴だったんだな。」

湯気と共にシャワールームから華が出て来た。

「何ひとりで笑っているの?」

華は厚手のバスローブに包まり、髪は高い位置でのシニヨンに纏められていた。

「ううん。何でもないよ。」

網の袋の中には華が来ていた濡れたTシャツや短パンが入っていた。その間にちらりとピンクのブラが見えた。

…ってことは?つけてないのか?

急に胸がドキドキし始めた。

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