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第20章 奪われたキス

俺もシャワーを勧められたが、遠慮した。

「2度も助けてくれて本当にどうもありがとう。」

華はぴょこんと頭をさげると、備え付けのバスローブを羽織っていた。お辞儀をした瞬間、胸元からちらりと、ふくらみが見えた。

…おま…マズいって。無防備過ぎるんだ馬鹿。

「びっくりさせちゃったの俺だし…。」

俺は、誰も来ないと思ってハーバーに止まっている小型ボートに乗って寝ころんで詞を書いていた。誰かが橋げたを渡って来る音がして俺は思わず息を潜めた。華だった。大きな声で独り言を呟きながら泣いていた。涙に濡れた横顔は、とても綺麗だった。俺は長い間その横顔を眺めて居たかった。涙を一生懸命手で拭く姿を見ていると、そのままにしておくことが出来なかった。

「あたしここで少し休んから帰るから、先にユウヤ帰ってて?」

シャワーから出たての華からはバラの香りがした。

「華…ちゃんを待ってるよ…また落ちたら困るでしょ?」

「もう華で良いよ。ユウヤはあたしの救世主だから。」

アイツはにっこりと笑った。月夜に浮かぶ真っ白なバスローブの華を俺はずっと見て居たい気持ちになった。

「学校でもみんな呼び捨てだから。」

シャワー室の隣にベンチがあったのでふたりで腰かけた。

「そうなんだね。」

「あっ…でもムカつく奴が居るんだけどね。華たれってあたしのことを呼ぶの。」

…それ…俺じゃん。

俺は苦笑いをした。

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