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第3章 Prototype

「やっぱり ユウヤは良い人だぁ。」

あったあったとユウヤが持ってきたのは、ファン100人限定で配られたシリアルナンバー入りの激レアの指輪だった。

「マジで?マジで?」

リツは指輪を受け取って、飛び跳ねて喜んでいた。

「さっきからそればっかり。」

あたしは笑った。

「でも…ひとつしか無いから…君にはこれあげる。」

ユウヤは自分の付けていた指輪を外しあたしにくれた。

「えっでも…。」

その指輪はユウヤの温もりがまだ残っていた。リツはあたしが貰った指輪をみて叫んだ。

「凄いじゃん!!シリアルナンバー1だよ!」

うん…メンバーは皆若いナンバーを持ってるんだよ。付けてるのは俺だけだけどとユウヤは笑った。

ユウヤ…そろそろ時間と黒田が囁いた。わかったと返した。

「今日は来てくれてありがとう。」

にっこりと笑ったその顔はとても素敵だった。

「これからも応援します!」

リツが大きな声で言った。

「あんまり頑張り過ぎないで!!好きな歌だけ歌えば良いよ!」

あたしもつい声を掛けた。

「えっ?」

ユウヤはあたしの言葉にちょっと驚いたようだった。

「無理して笑ってるように見えるから。本当に歌いたい歌だけ…歌えば良いよ。」

あたしの顔をじっと見て、ユウヤは行ってしまった。

部屋の入り口からダディが入ってくるのが判った。

「こんばんは。今泉華の父です。」

スタッフに挨拶をすると真っすぐあたしのところにやってきて何も言わずに、額の傷口を確認した。

「華さん。これは縫合しなくっちゃ駄目だよ。」

ダディは小さなため息をついた。

「ごつんって物凄い音がしたんです。」

リツが傍で口を挟んだ。ダディは大きな手であたしの頭に丁寧に触れた。

…ああ。リツったら余計な事を。

「気持ち悪くない?酷いたんこぶが出来てるけど。」

ダディはしばらくあたしを観察していた。

「うん。さっきまで眩暈がして、気持ち悪かったけど、今は大丈夫。血をみたから貧血かも。」

ダディが来たのでほっとしたからか、あたしはうっすらと目を開けて笑った。

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