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第20章 奪われたキス

「そうだね…華ちゃんが言いたくないのなら、そのままでも良いんじゃないかな?言ったら後悔すると思うのならやめておいた方が良いんじゃない?」

ダディの言ってることは哲学の問題みたいに難しくて抽象的だった。

「時期が来たら…好きで好きで仕方が無くって溢れて来ちゃったら、その時には告白出来ると思うんだ。」

「ダディは?ダディはどうだった?ママのこと。」

ダディは昔を思い出す様にして微笑んでいた。それはママとダディの関係を表しているように思えた。

「僕はね…トーコさんに振られたの。」

「えっ…そうなの?」

ダディは頭を掻いて恥ずかしそうだった。

「うん…人生で初めて女の子に振られたのがトーコさんだった。」

ママはダディを振ったんだ。

…知らなかった。

「その時にはね、もうガクさんの恋人だったから。だけど諦められなかった。トーコさんはねとってもチャーミングで可愛かったんだよ。それでガクさんと一時期喧嘩別れをしている時に、僕が付き合い始めたんだ。」

ダディとパパ、そしてママの三角関係について詳しく聞いたのは初めてだった。

「へぇ~。パパもママも今とあんまり変わらないね。」

あたしはママとパパが喧嘩をするところを想像できてしまっておかしくて笑った。

「告白した方が良いのかな?やめておこうかな?って迷っているうちはね、する時期じゃないんだよ。相手がそれを受け入れるかどうかの問題では無くて。自分の気持の問題だね。」

「自分の気持。」

「うん。だからそれを待てば良いんじゃないかなって思う。諦めちゃうのは時期尚早かも知れないよ?」

あたしは何となくダディの言わんとするところが判った気がする。ダディはベッドから立ち上がり、あたしの頭を撫でた。

「良かったよ…具合が悪いんじゃなくって。」

「あっ…ダディ!!このことは…。」

部屋から出て行こうとしたダディに慌てて声を掛けた。

「うん。判ってるよ。誰にも言わない。約束するよ。」

あたしはホッとしてベッドに再び潜り込んだ。解決はしていないけれど、話して気持ちが少し楽になった気がした。

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