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第20章 奪われたキス

「もう具合は大丈夫?」

僕が聞くと、華はいつものような笑顔を見せて頷いた。

「うん♪さっき春さんにおにぎり作って貰って2個も食べちゃった。」

俺は華の顔を見て安心した。

「俺が具合が悪くて出演出来ない時には、代役で弾いてくれない?俺の電話番号と、メアド教えとくから。」

リュウはゴソゴソとポケットから自分のスマホを取り出して紙に番号を書いて渡すと、真啓も自分の名前と携帯の番号を書いて渡した。

「お前そんなこと言って、サボろうとしたって駄目だからなっ。」

ユウヤがじろりとリョウを睨んだ。それには何も返事をせずに、リョウはピアノの部屋を出て行った。

…仲が悪いのか。

ユウヤの集中力は凄まじかった。数時間のうちに3曲が完成した。

「真啓くんの携帯番号かラインを教えて貰って良いかな?リュウの代役を探していたんだ。遅刻したりすっぽかしたりするから。都合が良い時で良いからさ。」

ユウヤは僕に携帯とメアドをくれた。作曲と編曲の手伝いはとても良い気分転換になった。何気なく華を見ると、またソファの上で眠っていた。

「あっ…また華ちゃん寝ちゃってる。」

「まだピアノの練習するんでしょう?俺が部屋まで連れて行くよ。」

ユウヤは、華を横抱きでそっと抱き上げた。僕は譜面を見た瞬間から疑惑が確信に変わった。

「ありがとう…空くん。」

部屋を出て行こうとする、ユウヤの大きな背中に声を掛けた。

「どういた…し…。」

思わず返事をしてしまったユウヤの振りをしている空は僕を振り返ったが、何も言わず静かに部屋を出て行った。

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