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第20章 奪われたキス

夕食の時から、真啓が俺のことをじっと見ているのに気が付いていた。

…やっぱり華は騙せても、真啓は駄目か。

すやすやと子供のように眠る華をベッドにそっと寝かせて毛布を掛けた。複雑な気分も隠しきれていなかったような気がする。俺はピアノの部屋に戻った。

「心配しないで。華ちゃんには言わないから。」

真啓は微笑んでいた。

「ありがとう。助かるよ。」

…キスをしてしまったことは流石にいえない。

「ユウヤさんは大胆なことをするね。」

「いつばれたんだ?」

俺はピアノの部屋のドアのカギを静かに閉めた。

「来た時から、あれって思ってたよ。」

ピアノの椅子に座ったまま真啓は伸びをした。

「決定的だったのは、この譜面の筆跡。」

譜面を揃え俺に渡し乍ら笑った。

「すげーな。流石は真啓だ。」

こんなに早くバレるとは思っていなかった。

「髪・眼の色、化粧で顔は誤魔化せても、筆跡や曲の雰囲気などは、変えられないからね。僕以外には君の正体はバレていないと思うよ。」

真啓の観察力は凄いものだと正直驚いた。

「華ちゃんのことを宜しくね。」

…えっ。

「コンクールで9月からなかなか学校に来れなくなると思うから。」

「海外か?」

「うん。国内・外だよ。」

俺はさっきまで華が寝ていたソファに腰かけた。

「いつ華ちゃんに話すの?」

真啓から笑顔が消えた。

「アイツに正体を明かす予定は無い。」

「そっか…華ちゃんのことだからずっと気が付かないんじゃないかな。」

真啓は楽しそうに笑った。その笑顔を見て胸が痛くなった。

「真啓…俺お前に謝らなきゃいけないことがあるんだ。」

やっぱり俺はきちんと言わなければいけないと思った。

「それは、華と関係あることなの…かな。」

真啓は俺に向き直ると、柔和な笑顔は消えていた。

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