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第20章 奪われたキス

僕は朝まで悶々として過ごした。

「華…話があるんだ。」

朝食後、華と華のお父さんは仲良くテレビを観ていた。
僕の顔を見て華は明らかに緊張した。プロトのメンバーたちは深夜遅くまで練習をしていたようで、誰も起きて来なかった。

「ハーバーへ行っておいで。この時間なら誰も居ないから。」

華と僕の顔を交互に見て小さな声で呟いた。

…空が居る限り僕は不安になってしまうだろう。

「う…ん。わかっ…た。」

本当は言わないつもりだったけど、この勢いで言わないとグズグズしてしまうような気がした。

「僕は先に行ってるね。」

…きっと今のこの瞬間より、コンクールの方が緊張しないだろう。

ハーバーの入り口にあるベンチで座って待っていた。

天気は快晴だった。湿気は含んでいたが、まだ涼しくて爽やかな潮風が吹いていた。華が緊張した面持ちでやって来た。

「真啓…話したいことって何?」

緩めに纏めたシニヨンが朝日に照らされておくれ毛が茶色く光っていた。

…そうだ。これで心置きなくコンクールへ行ける。

「僕はずっと前から…。」

―――― ドキドキドキドキドキドキ。

…静まれ。僕の心臓。

大きく深呼吸をしなければ続きが言えなかった。

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