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第21章 疎外感

――― 昼休み。

お弁当を持って真啓のクラスへと向かう。

「伏見君ならさっき職員室へ行ってまだ帰って来てないわよ?」

少し待ってみたけど、戻って来なかった。仕方なく教室へ戻り、リツと一緒にお弁当を食べて、いつものように音楽室へと向うと真啓が居て、既に人だかりができていた。生徒だけでなく、先生方も真啓の弾くピアノを聞いて居た。

「伏見先輩かっこ良いよね~。」「勉強も出来てピアノも弾けるなんて。」

見学に来ているのは殆どが女子だ。

…静かにピアノを聞くような状態じゃないよね。

教室に戻る途中、空とすれ違った。

「おい。音楽室行かないのか?」

「う…ん…人がいっぱいだから…今日は良いや。」

浅間神社で貰って来たお守りも結局渡せずじまいだった。

…あっという間に一日が終わっちゃった。

受賞のお祝いのメッセージを送って、そのお礼の返信が帰って来たけれど、それ以外は何も無かった。
家に帰ってベッドで横になった。今日は勉強する気にも慣れなかった。

…そうだ。プロトのユウヤとキーボードのリュウに真啓の2位受賞を伝えておこう。

(クリスマスにライブがあるからリツちゃんの分もチケット送るね。)

ユウヤからすぐにメッセージが戻って来た。それは、落ち込んだあたしには嬉しいニュースだった。

「真啓さんどうだった?」

ママがあたしに聞いた。

「一気に有名人で、今日なんて話すチャンスも無かったよ。忙しそうだし、お祝いのメッセージは送っておいたけど。」

パパが元気の無いあたしを慰めるように言った。

「暫くすれば落ち着きますよ。」

「そうだと良いんだけどな。」

溜息をつくと幸せが逃げていくというけど、あたしはまた大きなため息をついた。
すれ違いのまま1週間が過ぎた。廊下で会って立ち話をしようとしても、真啓と同じクラスの合唱部の美咲に遮られてしまう。

「伏見くん。次は移動教室よ。早く行かないと遅れちゃう。」

いつも取り巻きが数人いて、合唱部や吹奏楽部など音楽関係の部活をしている子達だった。

「華…ごめん。また後でね。」

その度に後で謝りのメッセージが届いたけれど、それに返信をするのも気が沈んで出来なかった。

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