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第24章 泣いてはいけない

「…ありが…と。」

黒田の車が止まった。

「さぁ車に乗って。」

俺が付いて行こうとすると、もう大丈夫だからと華が笑ったけど、俺は華と一緒に車に乗り込んだ。

「華さんのお家までここからだと車で30分ぐらいですね。夜なのでもう少し早いかもしれません。」

黒田がミラー越しに華に言った。

「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。」

今日の華はとても静かだった。もう泣いてはいなかったけれど、泣き顔を見られたくないのか、ずっと窓の外を眺めていた。

「俺、華の泣き顔ばかりみてる気がする。」

…?

「華?」

数分すると静かな寝息を立てて華は寝ていた。

…相変わらずだな。

信号待ちで車が止まると、華は俺に寄り掛かかってきた。

「この子…ホントに可愛いですね。でも僕はお母さんの方が…。」

――― ドカッ。

俺は運転席のシートを蹴った。

「何度も同じこと言うなよ…この年増好きっ!!」

華の寝顔を眺めていた。

…俺は一体何がしたいんだ?

自分で自分のことが判らなくなった。

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