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第24章 泣いてはいけない

久しぶりに真啓が学校に来ていた。

「おい。今泉!伏見が呼んでるぞ。」

今日こそちゃんと言わなきゃいけないと思っていたところに、本人が現れた。真啓は教室の入り口に立って、あたしを待つ間クラスメートと話をしていた。

「ちゃんと話しあうんだよ?いい?」

リツが小さな声であたしに言った。

「うん…判ってる。」

ひとつ大きな深呼吸をして席を立ち真啓の元へと向かった。真啓はいつもの優しい笑顔であたしを待っていた。

「久しぶりだね。コンクール以来だね。元気にしてた?」

「う…ん。」

「一緒に写真を撮りたかったのに、帰っちゃうから驚いたよ。」

「う…ん。こめんね…心配かけて。」

「あの日何かあった?」

…駄目だ。

鼻の奥がツーンとしてきた。真啓に優しくされると苦しかった。

…泣いては絶対に駄目。

「ねぇ。真啓…。」

あたしは真啓と目を合わせることが出来なかった。

…苦しい。

余計な事を言ったら涙が溢れそう

「…。」

真啓は返事をしなかった。

「僕は嫌だ…。」

その強い口調にあたしは顔を上げた。

「電話に出ないのも、ラインの返信がそっけないのもそれが理由?」

…真啓は判ってる。あたしがこれから言おうとする言葉を。

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