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第25章 傷ついた心

「真啓…華のこと見てるよ?」

体育の合同授業。真啓があたしをじっと見ていることに気が付いたリツが囁いた。隣には恩田さんが座っていて、何かを真啓にしゃべりかけていた。

「華…本当に本当にこれで良いの?」

リツが心配してくれているのは良く判った。だけど、これで良く無くても、良いことにしたい。そうしなきゃいけないんだ。

「うん。お互いに良かったと思ってる。」

真啓のことだからコンクールで次々に入賞している今は、あたしに言い出し難かったのかも知れないと思った。

「そうだ。プロトのチケット、ユウヤが送って来てくれたの。明日持って来るね。」

真啓はリツが言うようにあたしのことをいつも見ていた。だけど、ずっと気が付かない振りをして過ごしていた。

春さん付き添いのもと、打ち上げパーティーに誘われていた。

「そんなことして大丈夫なの?」

「うん。大丈夫。両親には内緒にしているし、その日はリツと映画を観に行くことになってるから。」

あたしは笑った。

「じゃあ口裏合わせしとかないと駄目じゃない。」

「うん。だから宜しくね。合宿の時に作った曲も披露するって言ってたよ。」

「うわぁ楽しみ~♪今回は色紙を忘れずに持って行かなくっちゃ!!」

リツはぴょんぴょんと嬉しそうに飛び跳ねた。

「こらーっ!!今泉と岩田~!!お前達試合中だぞっ。無駄話してる暇があったらボールをちゃんと見ろ。」

先生に怒られてもあたし達は小声でしゃべり続けて居た。


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