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第26章 キスの続き

「ちょっと!何でお母さんが来るのよ?」

ママは春さんが家に来たのを見ると、眉を顰めた。ママも春さんも外見どころか性格もそっくりだから、仲が悪いのかも知れない。

「違うのママ。あたし春さんのご飯が食べたくなっちゃったの。色々あって疲れちゃったから。御馳走が沢山食べたくなったの。」

春さんはほらねという顔をして部屋へとあがった。

「お母さんが来ると碌な事が無いんだから。」

ママはとても不機嫌になって、パパ達に宥められていた。パパ達は、懐石料理のような美味しいご飯が食べられると大喜びだったけれど、ママが怒っているので表向きは中立の立場をとっていた。
華さんとふたりで食材を買いに出かけた。

「華さん何か相談したいことがあるんでしょう?」

春さんはママよりもあたしの事を良く理解してくれている。

「うん。」

食材を迷いなくカートへどんどん入れる春さんはきびきびとしていた。

「あのね…ユウヤに告白されたの。」

春さんは手を止めてあたしを振り返った。

「お付き合いしようって言われたの。あのコンサートの後に。」

あたし達は一通り野菜を選ぶと、肉や加工食品のブースへと移動した。

「ところで 真啓さんとはどうして別れたの?」

あたしはどう答えようか迷っていた。

「真啓…同学年の女の子と…婚約してたの。」

春さんは眉を顰めた。

「どんな理由があるか判らないけれど、それは問題ね。トーコたちはそのことを知ってるの?」

あたしは首を横に振った。

「判らない。ただ、真啓のご両親がママ達にお話があるって言ってたから、あたしは多分そのことだと思ったんだけど、結局別れちゃったから、その話も無しになったの。」

春さんは顎に手を当てて少し考えていた。

「あっでも。もう済んじゃったことだから、パパ達には言わないで?お願い。特にママに知られたらとんでもないことになりそうだから。」

ママの性格を考えると白黒はっきりさせないと気が済まない質だから、真啓の家に乗り込みそうだ。

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