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第27章 健全なお付き合い

アイツは家でボーっと過ごしていることが多くなった。普段は見ないテレビをつけっぱなしにしてリビングのソファで座っていた。

――― にゃぁ。

夕方の子供番組が騒がしい笑い声をたてていたけど、全くそれにも気が付かない様子だった。俺が啼くと小さな手で俺の頭を撫でてたが、それも心ここに在らずな、おざなりなものだった。

「あの子…真啓さんとのこと本当に大丈夫なのかしら?」

トーコさんはダディと小さな声で話していた。俺はその話が聞こえるように、そっとダイニングテーブルの下へと移動した。

「僕が聞いても話してくれないんだよね。」

ダディも華の扱いに手を焼いているようだった。

「あちらのお宅にも聞いてみようと思ったけれど、こればかりはね…こうなってしまった以上は、何も言えないもの。」

トーコさんはわが子のことをとても心配していた。

「こんな時は、逆にガクさんに聞いて貰った方が良いんじゃないかな?僕は失恋したことが殆ど無いし、辛さは判ってるつもりだけど…。」

…ダディ…流石だ。頭が良くてカッコいいと、言う事も違うぜ。

「でも…ガクさんねぇ。ちょっと鈍感なところがあるから、大丈夫かしらね。」

…それに引き換え、パパは酷い言われ様だ。

「いいや。きっとそれが腫れものに触るような態度じゃなくて良いのかも知れないよ?」

そんな時に、パパが帰って来た。トーコさんとダディがコソコソ話をしているのを聞くとちらりとソファに座る華をみた。

「あれからだいぶ経つのに、相当辛い思いをしたんでしょうね。僕は、華さんのあんな姿見て居られません。」

パパも静かに言った。

「夏さんから真啓さんについて何か聞いて居ないんですか?」

「それが…あれ以来、海外のコンクールへ行ったりして直接話をしていないみたいなんです。メッセージを送っても“僕がいけなかった”って言うだけで、何も…。」

パパの遅い夕食の支度をしながらトーコさんが苦笑した。

「そうですか…。僕はこういうことは苦手ですけれど、でも華さんが心配です。勉強どころか、食事だって余り食べていないし、夜も遅くまで起きているみたいですし…。」

大人たちの会議は静かに続いた。


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