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第27章 健全なお付き合い

「おばあさまとのお食事はどうだったの?」

母が僕に聞いた。最近は忙しい母も僕の事でバタバタしており、良く家にいてくれていた。

「うん。短期留学の話だったよ。恩田さんとは学校でもいつもあってるんだけどね。」

…そうだ。最近はいつも一緒に過ごしている。

僕は息苦しかった。華と一緒に居た時の方が毎日がとても楽しかった。華といられないのなら、ひとりで過ごしていた方が正直、気楽だったけど、恩田教授にお世話になっている以上は不義理も出来ない。

「そう言えば、最近華さんのお話をしないわね?」

僕は余りにも突然の別れにずいぶん経つのに、気持ちの整理が出来ないままだった。そしてあの週刊誌…夏から聞いた。ユウヤの相手が華だったこと、今はふたりが付き合っていること。

「うん…別れたんだ。」

僕が思っていた通り、空は…ユウヤは華のことがずっと前から好きだったんだ。学校でも、空は音楽室に顔を出さなくなったし、いつも遠巻きながら華を見守っていた。

「えっ!そうだったの?」

母は驚いた顔をした。

「うん。友達に戻ろうって、アジア大会のコンクールの後に言われたんだ。」

「そうなのね…だから、あちらのお母様が、お会いする日、都合が悪くなってしまったので、また今度っておっしゃってたのね。」

「なんだお前、華ちゃんに振られたのか?」

父が僕に真面目な顔で言った。

「うん…多分、僕がコンクールやレッスンで忙しくて、構ってあげられなかったからだと思うんだ。」

「そうか…お前も俺と同じ道を歩むのか…辛いよな。適当に気楽に気分転換をすればいいさ。」

父はいつもわかったようなことを言う。それが僕は腹立たしかった。

「僕は…僕はお父様とは違うっ!そんなに器用なことは僕には出来ないよ!」

父の言葉は、傷口に塩を塗られるようでその痛みに耐えられなかった。父も母も僕が大きな声を出したので、驚きそれ以上は何も言わなかった。

「ごめんなさい…華の事は、まだ心の整理がついてないんだ。だから放っておいてほしい…。」


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