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第27章 健全なお付き合い

――― バレンタイン。

あたしはユウヤのマンションで夜を過ごす約束をしていた。

「少し遅くなるかも知れないけれど、家に帰ったら連絡するから。」

今日は撮影があるから遅くなるって言ってたけれど、ユウヤから思っていたよりも早く連絡が来た。

「これからちょっと出かけて来るね。」

あたしは慌てて準備を始めた。

「あら?こんな時間から?」

ママが時計を見て言った。

「うん♪今日はバレンタインでしょ?今日のうちにチョコレートを渡したいの。」

あたしはパパが不機嫌そうにしているのを横目で見ながらバタバタと携帯やチョコをバッグに入れた。

「あれ?華さん今年はチョコ僕たちにくれないの?」

お風呂を済ませてママと寛いでいるダディがあたしに声を掛けた。

「うん。だってパパもダディも病院でいっぱい貰って来るでしょう?あたしのなんて必要無いじゃない。じゃぁ行ってきまぁす♪」

あたしが玄関で靴を履いていると、ママが慌ててやってきた。

「ちょっと華さん。ふたりともああ見えて娘のあなたからのチョコは特別だって思ってるんだから、そんなこと言っちゃ駄目でしょ?」

「あたしは、もう義理チョコはあげるの辞めたの。どうせママだってあげるんだし良いじゃない。じゃぁね。」

あたしは久しぶりにユウヤに会えるのを楽しみにしていた。マンションへ着くと、ユウヤが待っていた。

「俺もさっき帰って来たところなんだ。お家の人こんな遅い時間に出てくるの大丈夫だった?」

「うん。毎年あげるチョコをパパ達にあげなかったから不機嫌だったけど。はい♪これチョコレート。ファンの子から一杯送られてくると思うけど…。」

「ありがとう嬉しいよ。ファンの子のは悪いけど捨てちゃうんだ。何が入ってるか判らないから。事務所からもそう言われてるし、メンバーも殆ど食べないよ。」

ユウヤはソファに腰かけて、嬉しそうにチョコレートの箱を開けた。

「仕事忙しいのに会ってくれてありがとう。」

ユウヤは早速トリュフチョコを口に放りこんだ。

「うん♪美味しいよ。華も食べる?」

「良いの?」

あたしは、チョコレートが大好きだ。

「じゃぁ俺が食べさせてあげる。」

ユウヤはしなやかな指で真っ白なトリュフを一つ摘まむとあたしの口元まで持ってきた。

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