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第28章 ライバル宣言

「なんかズルいよなお前。」

俺は職員室の帰り、偶然、深刻な顔をして話すふたりを見つけて立ち聞きしていた。

「あんな風に言われたら、後ろを振り返りたくもなるよ。華は優しいから。」

「うん。僕もそう思う。」

真啓は悪びれもせずに笑った。

「僕も空くんを見習って、これからは僕のやり方で華を取り戻せるように頑張るよ。」

…真啓。

真啓はふっと笑った。

「それに僕は片思いなら慣れてるから平気さ。」

お前はなんでそう淀みない気持ちで真っすぐにものが言えるんだ?卑屈にもならずに正直で何故いられるんだ?

「今は空くんの方が優勢だけど、僕はまだ挽回できると思ってる。でももしも空くんが華のことを泣かせる様なことがあったら、僕も容赦はしないよ。」

真啓はまっすぐな眼で俺を見つめた。

「ああ…判ってるよ。お前なら俺の相手に不足は無いよ。」

「僕もだよ。」

お互いに笑い合った。

「それよりなんであんな可愛く無い女と婚約したんだ。」

俺たちは肩を並べて教室へと向かって歩いた。

「空くんは見る目が無いなぁ。恩田さんは学年で1・2を争う美人だよ。」

真啓は不敵な笑いを浮かべた。

「まぁ学年1の華は俺の彼女だがな。」

俺はこいつとなら正々堂々と戦える。

「今のところはね。」

俺がムッとした顔をすると、くっくっと小さな声で真
啓が笑った。

…こいつ実はさらりと毒を吐くタイプなんだな。

「ああ。お前にだけは負けたく無いぜ。」

「そのセリフそっくりそのままそちらに返すよ。」

真啓は余裕の笑みを見せた。


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