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第28章 ライバル宣言

――― 6月。

「なんか…あたしだけ馬鹿みたい。」

あたしは教室のベランダに椅子を出して座り、リツとお弁当を食べていた。だいぶ日差しが強くなってきた。

「何が?」

「だってあたしだけ意識して、真啓は全然平気であたしに話しかけてくるんだもん。」

「まぁさ…真啓くんは悪く無かったんだから、良いんじゃない?」

真啓と夏、そして空は一緒にお昼を食べたり遊んだりしていた。真啓は夏休みの留学を控えてて忙しいのにも関わらず…だ。あたしだけが複雑な思いを抱えつづけたまま、過ごしてた。

「夏休み、春さんがまた葉山においでって言ってるんだけど、一緒に行かない?息抜きに1週間。」

「うわ~ほんとう?夏も来るの?」

「うん。あいつはいつも行く。用もないのに行ってるよ。」

パパ達が居ないのでのんびり出来るのが良いらしい。

「ユウヤも誘うの?」

「なんか忙しそうだしどうだろう。」

ここ数週間予定が合わず会えていなかった。遅い時間には帰って来るらしいけれどパパに言われた“節度あるお付き合い”に阻まれていた。

「そっかぁ。高校最後の夏休みだもんねぇ。勉強も頑張らなきゃだけど、想い出もしっかり作りたいよね。」

…思い出か。

去年の夏休みの出来事が遠い昔のようだった。

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