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第28章 ライバル宣言
――― 真啓が旅立つ日。
真啓は1学期の終業式を待たずにひとりで旅立つ。夏休みの間だけだったけど、それでも寂しい気がした。夏と空、リツ、あたしに何故かパパ。仕事が忙しいのにわざわざ休みを貰って来た。相変わらず真啓はパパのお気に入りだ。
「留学は、生活に慣れるまでが大変でしょうけれど、そこでしか学べないことも沢山ありますから、頑張って来て下さい。」
パパが真啓に静かに言った。
「それからこれは餞別代りに。」
パパはリボンが付いた革製の小さなバッグを手渡した。真啓は受け取ると中を開けた。
「ピアノの調律工具です。日本製のものが良いときいてね。荷物になってしまうかも知れませんけれど。」
木の柄で出来たチューニングハンマーや、ハープシコードハンマーなど最低限の調律に必要な工具が入っていた。そして美しい飾り文字で真啓の名前が書かれていた。
「素敵なものを…ありがとうございます!母が持っているものよりも豪華です。」
真啓は笑みを浮かべてお礼を言った。とても大切そうにそれをバッグの中に閉まうのを見るとパパはとても満足そうだった。
「華さんは入り口まで送ってあげなさい。僕たちはコーヒーでも飲んでくるから。」
パパの見え見えで強引な真啓とあたしを“ふたりっきりにさせる作戦”にその場にいたみんなが笑った。それでも真啓は嬉しそうにパパの好意を受け取った。
「華…僕はね、ユウヤさんと話をしたんだ。華を大切にしないと僕が取り返すって。」
「嫌よ…まるであたしの気持をみんな無視してるみたい。」
「僕のせいで別れてしまったけど、華は僕の事を嫌いになって別れたわけじゃないって判ってるから。」
…確かにそうだったけど。
「僕の気持はあの時と変わらないよ。」
…真啓。
真啓は1学期の終業式を待たずにひとりで旅立つ。夏休みの間だけだったけど、それでも寂しい気がした。夏と空、リツ、あたしに何故かパパ。仕事が忙しいのにわざわざ休みを貰って来た。相変わらず真啓はパパのお気に入りだ。
「留学は、生活に慣れるまでが大変でしょうけれど、そこでしか学べないことも沢山ありますから、頑張って来て下さい。」
パパが真啓に静かに言った。
「それからこれは餞別代りに。」
パパはリボンが付いた革製の小さなバッグを手渡した。真啓は受け取ると中を開けた。
「ピアノの調律工具です。日本製のものが良いときいてね。荷物になってしまうかも知れませんけれど。」
木の柄で出来たチューニングハンマーや、ハープシコードハンマーなど最低限の調律に必要な工具が入っていた。そして美しい飾り文字で真啓の名前が書かれていた。
「素敵なものを…ありがとうございます!母が持っているものよりも豪華です。」
真啓は笑みを浮かべてお礼を言った。とても大切そうにそれをバッグの中に閉まうのを見るとパパはとても満足そうだった。
「華さんは入り口まで送ってあげなさい。僕たちはコーヒーでも飲んでくるから。」
パパの見え見えで強引な真啓とあたしを“ふたりっきりにさせる作戦”にその場にいたみんなが笑った。それでも真啓は嬉しそうにパパの好意を受け取った。
「華…僕はね、ユウヤさんと話をしたんだ。華を大切にしないと僕が取り返すって。」
「嫌よ…まるであたしの気持をみんな無視してるみたい。」
「僕のせいで別れてしまったけど、華は僕の事を嫌いになって別れたわけじゃないって判ってるから。」
…確かにそうだったけど。
「僕の気持はあの時と変わらないよ。」
…真啓。