テキストサイズ

+* ゚ ゜゚ *Classmates* ゚ ゜゚ *+

第29章 あたしの知らないみんな

真啓からほぼ毎日メールが来た。レッスン大変そうなのに、英語が通じない店に入って困ったとか、炭酸水を何度も間違えて買ったとか、蒸し暑くは無いけど結構暑いだとか、写真付きで送ってくれた。

…離れていた方が、良かったのかも知れない。

ギクシャクしたあたし達の関係をリセットするには、真啓の短期留学は良かったかも知れないと思った。

「真啓くんなんだって?」

本が無いユウヤ図書館で勉強をしていると、少し時間が空いたとユウヤがマンションに戻って来た。

「元気にしてるみたい。」

あたしは真啓にすぐに返事を書く。

…何も言わないけれど、異国でひとりなんて寂しい思いをしているに違いない。

「ふーん。」

ユウヤはソファにごろりと横になった。

「寝室で寝て来たら?時間になったら起こしてあげるから。あと、ママが作ったおかず冷蔵庫に入ってるから食べてね。」

ママも芸能人なんてと心配しているけれど、もともとがお節介焼きなので、ご飯の差し入れを持たされる。

「うん。じゃぁ華も一緒にお昼寝しよう。」

ユウヤはあたしをひょいと抱き上げると寝室へと連れて行った。

「ちょっ…待って…あの。」

あたしは顔が真っ赤になった。

…どうしよう。

「そんな意識しないでよ。意識されちゃうと逆に襲いたくなっちゃうよ。」

大きなベッドの端におろされた。ユウヤの香りがする部屋。色んな人のCDが沢山並んでいた。あたしがきょろきょろと見渡している間にユウヤは上半身裸になるとベッドに潜り込んだ。

「さぁ♪華。俺の隣においで~。」

ふわりとブランケットを捲って、枕をここに寝なさいと言わんばかりにボフボフと叩いた。カーテンで閉め切られた部屋は、サイドテーブルの電気が薄暗くついているだけだった。

…おいで~ってにこにこ顔で言われてもですね…。

躊躇しているあたしの手をぐいっと引っ張ってブランケットの中へ引き摺り込んだ。

「わわっ…。」

慌てたけれど、あたしはユウヤの張りのある広くて大きな胸の中に居た。ベッドサイドのライトを消すと真っ暗になった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ