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第29章 あたしの知らないみんな

――― 夕食後。

夏はテレビをダディと見ていた。

「ねぇ。夏?話があるんだけど…。」

「えーっ。今忙しい…テレビ観てるから。」

…何よそれ。

ダディがあたしを見て笑った。
「一体何?今言いなよ。」

夏とダディはお笑い番組を見ながら笑っていた。

「良いの?今ここで言って?じゃあ聞くけどさ、リツと今年のお正月に初詣行ってたの?あたし知らなかったんだけど、見てた人がいてさぁ。可笑しいなぁ…リツはあたしと…。」

「あ~っと。そうだ。リツちゃんからお前宛に渡されてたものがあったんだ!」

それを聞くと慌てて立ち上がり、あたしを自分の部屋へと連れて行った。

…最初からそうしろよ!馬鹿夏っ!

「…で、リツから預かったものって何?」

あたしはわざと夏に聞いた。

「お前さダディの前であんなこと言うなよ。」

夏はあたしと違って秘密が多い。すぐに顔にでるあたしと違って、のらりくらりと上手に逃げる。だから、ママもパパも扱いがあたしとはちょっと違う。

「あとさ…塾の先生…誰だっけ…サト先生とばったり道であってさ、聞いちゃったんだけど…。」

勿論塾の先生と会ったなんて真っ赤な嘘だ。だけど、夏は慌てていた。

「いつそんなことしてたの?今も続いてるのにリツと付き合ってるの?」

「そんな訳無いじゃん。サト先生は中2の時だよ。」

…マジですか。

「信じられない…おかしいと思ってたの。勉強嫌いな夏が、夏期講習なんて…しかも真面目に毎日行ってたじゃない?」

「あーっ。もう良いだろその話。」

「良くないよ。だってサト先生は20歳だったでしょ?立派な犯罪じゃん。」

「もう昔の話だよ。」

夏が開き直った。

「それより…リツのことを夏はちゃんと好きなの?あたしちっとも知らなかったよ。」

あたしは、夏のベッドに腰を下ろした。

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