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第30章 共演NG

「お前…調子に乗るのもいい加減にしろよ?」

ミーナはその冷たい声に腕を絡ませたままユウヤを見上げた。

「俺に触んな…ブス。」

ユウヤそのまま動かずにいた。

…えっ。

冷静で有無を言わせぬ厳しいものだった。

「お前の弄り回した顔も、偽物の胸も気持ちが悪ぃんだよ。俺はお前みたいな枕やってるタレントは大嫌いだ。」

「ひ…酷い。」

今までとは、全く違うその様子にミーナも戸惑っていた。


「俺の前で汚ぇものみせるんじゃねぇっ!そんなに見せたいなら表でやれよ。なっ?そうしろよ…。」

ユウヤはミーナの手をぐいっと引っ張り、玄関へ引き摺る様に連れて行った。

「ちょ…ちょっとぉ!痛いぃ~!!」

ミーナは大げさに大きな声をあげた。

「あ~っちょっと待ってェ。あたしのブラウスにバッグ!!」

ユウヤはさっさと玄関のドアを開けて突き飛ばすようにミーナを追い出し、ドアの鍵を閉めた。

――― ドンドンドンッ!!

「ちょっとぉ!!開けてぇっ!開けてよぉ~!!」

ミーナは大きな声でドアを激しく叩いた。ユウヤはそれを無視して大きな足音を立て乍ら、寝室へ戻って来てバッグやブラウス、帽子などを掴むと、玄関のドアを再び乱暴に開けた。

「二度と来んな!!ブス。」

――― ドサドサッ。

どうやら荷物を放り投げたようだった。寝室に戻ると、ガラス窓を大きく開けて、部屋中に消臭剤を巻いた。

「ゴホッゴホッ。」

あたしはそのアルコール臭に咽て、クローゼットの扉を開けた。

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