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第31章 どっちがホント?

――― 夕食。

春さん、夏、リツ、ユウヤそしてあたし。静かな夕食だった。

「高校生最後の夏休みね。」

春さんがあたし達の顔を見ながらため息をついた。

「ついこの間まで赤ちゃんだったあなた達が、こんなに大きくなっちゃうんですもの。私がおばあちゃんになっちゃうわけよね。」

「初めて春さんを見た時、俺、華のお母さんかと思ってた。」

「あら…それはトーコと似てるからでしょう?」

春さんは笑った。

「華のおばあちゃんには見えないですよ。」

リツも真面目な顔をして春に言った。

「みんな良い子ね。ありがと♪」

春さんはとても嬉しそうに微笑んだ。

「ここで過ごすのは自由だけど、お酒タバコ、法律で禁止されてることは駄目よ?」

「判ってるよ。春さん。」

夏がリツの顔を見ながら笑った。

「あなた達のことを大人として扱うけれど、しっかりその分責任を果たして頂戴ね。」

春さんは念を押した。

「大学に入っても親の脛を齧っているうちは大人じゃないわ?」

「今日の春さんは何だか、お説教臭いね。」

夏が笑うと、リツが肘で夏をつついた。

「春さん…判ってる。ここにいるみんなはちゃんと判ってると思うよ。」

ユウヤが静かに言った。

「そう。それなら良かったわ。華ちゃんデザート出すからちょっと手伝ってくれる?」

あたしは春さんについてキッチンへと向かった。チョコレートケーキを切り分ける春さんの隣で、あたしはお皿を渡す。

「健太郎さんが帰って来るの。」

健太郎さんは春さんの旦那さん。あたしのおじいちゃんだ。

「おじいちゃんが帰って来るの?」

「ええ。」

「小さなパーティーを開こうと思ってるんだけど。もうすぐあなた達のお誕生日だし。」

「ホント♪嬉しい~。」

こうして突然のお誕生日パーティーは開催されることになった。

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