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第31章 どっちがホント?

久しぶりにおじいちゃんに会える。もう定年退職して良い年だけど、貿易商をしている。

「ふたりとも随分と大きくなったね。」

「当たり前よ。この間会った時は半年前でしょ?」

あたしはおじいちゃんに抱き付いた。

「夏は随分と背が伸びたなぁ。」

あたしはユウヤの紹介をした。春さんが小さな声でおじいちゃんと話していた。

「初めまして。」

おじいちゃんはユウヤそしてリツと握手をした。

「どうぞゆっくりしていってください。」

おじいちゃんはすぐに書斎へと籠った。春さんは朝から忙しそうに準備をしていた。パーティといっても、ここにいるあたしたちだけだ。

「あなた達は海にでも行ってらっしゃいね。」

夏とリツは毎日海へと出かけていた。あたしはベッドでごろごろしながら本を読んで過ごした。

――― コンコン。

はいどうぞとあたしが声を掛けるとユウヤが入って来た。

「一緒に昼寝しようかと思って。」

ユウヤは優しく笑った。

「何の本を読んでるの?」

ユウヤあたしの隣に寝ころび覗き込んだ。

「モーパッサンの女の一生」

昼寝をと言いつつもユウヤ紙と鉛筆を持って来ていた。

「作詞?」

「うん…華と一緒だったらいい曲がかけそう。」

本のページをめくる音と、紙の上を鉛筆が走る音が聞こえていた。あたしは整ったユウヤの顔を時々そっと盗み見ていた。


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