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第32章 満月の夜

「あたし…大丈夫だよ…空が好き…大好き。」

「お前…。」

「空が…いい。空が良いの。」

あたしは離れると、自分から空に口づけをした。空は深呼吸をすると辛そうに顔を顰めた。

「お前…自分が何を言ってるのか判ってるの?」

あたしは空に痛い程肩を掴まれて、引き剥がされた。

「判ってる…判ってるよ…怖いけど…でも…空が好きだから…。」

あたしは空の顔を手で挟んで再び口づけをした。見よう見まねで、空の口の中の舌を探した。

「ん…ん…。」

あたしの背中に回された空の手が、パジャマの裾を探して腰から入って来てブラのホックを一瞬で外した。

「俺も…華が好きだ。」

あたしを仰向けにすると、パジャマのボタンをひとつずつ外し始めた。外しながら何度もキスを重ねた。

――― ちゅっ…ちゅっ。

小さな音があたしたちの間で聞こえる。ボタンを全て取ると、前をそっと開いた。肩袖ずつ脱がされて白いブラも取り払われて、あたしの上半身を隠すものが何も無くなった。

あたしが思わず手で腕で胸を隠すと、空は優しく言った。

「綺麗な華が見たい…。」

空はあたしの腕をそっと掴んだ。

「恥ずかしい…。」

心臓が爆発しそうなくらい緊張していた。

「わかった…うつ伏せになって?」

あたしは言われるがままにうつ伏せになった。大きな少し冷たい手が、あたしの髪をかき上げると、襟足に空の柔らかで熱い唇を感じた。

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