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第34章 スキャンダル

ダディとママがデートで、夏はどこかへ出かけてしまい、珍しくあたしとパパとふたりだけの夜だった。

パパにお茶を煎れてあげて、そっとテーブルの上に置いた。

「華ちゃん…ありがとう。」

パパはお茶を見てあたしにお礼を言うと、再び本を読み始めた。

「あの…パパに聞きたいことがあるの。」

あたしは、勇気を出して聞いてみることにした。パパは読んでいた本をテーブルの上に置いた。

「なんですか?僕で答えられることであれば…。」

煎れたばかりのお茶を静かに飲みながら言った。

「浮気ってどんな時に、どんな気持ちでするのかなぁと思って。」

パパは慌てて湯飲みをテーブルの上に置いた。

「な…どうしたんですか?藪から棒に…。」

「経験者のパパに聞けば判るかなと思って。」

ダディに聞いたところで経験が無いから判らないって言われそうだし、家にふたりっきりの今だったら聞けるような気がした。

「そう言われると、とても複雑ですね。」

パパが苦笑した。そうだ少なくともパパは、浮気する側にもされる側にもなったことがあるエキスパートだ。

「浮気をする人の気持が判らなくて困ってるの。」

「えっ…ユウヤさんが浮気をしているってことですかっ?!」

パパの顔が一瞬にして険しくなった。

「ううん。違う…あたしの友達の事なの。」

リツとは言わずに、誤魔化した。パパはそれでも疑いの目であたしをじっと見つめていた。

「華さん…心配なことがあるのなら、遠回しに言わないできちんと話をして下さい。」

「本当にあたしのことじゃないの。」

「自分の事で無いのなら、あまりあなたが口出しするようなことでも無いと思いますよ?お友達と相手の問題でしょうし…。」

…確かにそうだ。

「じゃぁ、パパはどうして浮気をしようと思ったの?」

パパはしつこいあたしに眉を顰めた。

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