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第34章 スキャンダル

「夏…ちょっと良い?」

あたしはリビングでテレビを観ていた夏に声を掛けた。

夕食後皆が寛いでいる時間だった。

「今…忙しい。」

…忙しいってテレビを観てるだけじゃない。

夏はあたしをいつも小馬鹿にして本当に腹が立つ。

「判った…じゃぁここで話すね。あんた浮気してるでしょ?」

隣に座っていたダディがギョッとした顔であたしを見た。

「おま…。」

夏は慌ててあたしを部屋へ連れて行った。

「あれだけリツを大切にしてねって言ったのに、どうして浮気なんて出来るの?リツだって薄々気が付いてるよ。」

真啓の家に入り浸っていることは確認済みだった。

「そんなことしてないよ。」

さっきの狼狽えようとは、うってかわって、夏は涼しい顔で答えた。

「してるでしょ?」

あたしは夏に詰め寄った。

「華の思い過ごしだよ。」

のらりくらりとあたしの質問をかわした。

「不誠実なことしないでよ。」

「だからしてないって言ってるだろ?華はしつこいよ。」

「じゃぁなんで香水の香りがするの?」

夏が一瞬、焦った顔をしたのをあたしは見逃さなかった。

「その香り…あたし知ってるわ。」

間違いなく真啓の妹の怜の香りだ。

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