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第5章 涙雨

バスを降りると、何故か空も同じ停留所で降りた。

「何よ…ついてこないでよ。」

重い雲が空を覆い、雷が鳴っていた。

…あれ…地震?

「別にお前について来てるわけじゃねーよ。俺の家もこっちだ。バーカ。お前こそ俺についてくんな。」

あたしは言い返す元気も無かった。生暖かい風が吹き始め、雨がポツポツと振り出した。

…なんかふらふらしてる?

「おい…お前…大丈夫か?」

空があたしの後ろから声を掛けて来た。

「うん…なんか体が凄いだるい…の。」

空はいつの間には私の隣を歩いていた。

「お前 ゆでだこみたいな顔してるじゃん。家どこ?」

「あのマンション。」

あたしは自分が住んでいるこの辺りで一番大きくて高いマンションを指さした。

「お前ん家って金持ち?あんなとこ住んで。」

あたしは空に答える気力も無かった。

「お前…ふらふらしてるぞ?」

空があたしの腕を掴んだ。

「華…熱あるんじゃね?」

空が大きな手であたしの腕をしっかりと掴んだ。

「ちょっと…触らない…で…よ…。」

あたしは空の腕を振り払らうと、ふらついて危うく車道へ倒れそうになるところを空が、しっかりと抱き止めた。

「あぶねーっ!なぁ…お前んちどこ?何号室?」

振り出した雨が顔に当たって気持ちが良かった。

「ああ…あっち…。」

あたしは頭がボーっとしていた。

「あっちじゃわかんねーよ。あーっもう面倒くせー。雨降って来ちゃったし。」

空は軽々とあたしを抱きかかえると早足で歩き出した。その間にもどんどん雨が強くなった。マンションのエントランスに来た時には、ふたりともびしょぬれ…だったと思う。あたしはその時のことを余り覚えておらず、後で聞いた。

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