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第5章 涙雨

「何号室?」

マンションのエントランスまで来た。

「えーっと30階の3010号室…。」

部屋のボタンを押すと、ママの声が聞こえた。すぐにドアが開き、空はあたしを抱きかかえたまま、エレベーターに乗った。

「なんか…寒い。」

あたしは空の腕の中でガタガタと震えていた。

―――― チーン。

エレベーターが30階に止まるとママが待ち構えていた。

「華ちゃん!」

ママはびっくりした様子だった。

「俺部屋まで運びますから、どこか教えて下さい。」

ママは玄関のドアを開け、あたしを抱える空を招き入れた。空はドサッとあたしの濡れた荷物を玄関に置いた。
――― ザザザザザー。

轟音と共にバケツをひっくり返したような強い雨が降り出したのが聞こえた。空はあたしをベッドに寝かせた。

「あなたは?」

「古水流 空と申します。」

ママは慌てて大きなバスタオルを持ってきて空に渡した。

「あなたもびしょぬれじゃ無い!!そんなんじゃ風邪ひくわ。ちょっと待ってて。乾いてるお洋服持ってくるから着替えなさい。」

ママは再び部屋に戻ると、パパの洋服を取りに行った。

――― パタン。

ママが玄関に洋服を持って戻って来た時には、空は居なかった。


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