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第5章 涙雨

ママはその間にあたしを着替えさせて、冷えた体を布団でしっかりとくるんだ。

「酷い熱だわ。」

うっすらと目を開けると、ママの心配そうな顔があった。

「あれ?」

あたしはキョロキョロと周りを見回した。

「空さんって言ったかしら?あなたをここまで運んで来てくれたのよ。」

ママが体温計を持ってきて測ると39度もあった。熱いはずなのにあたしはブルブルと震えていた。

「この調子じゃまだ少し上がるかも知れないわね。」

ママが溜息をついた。

「明日は学校お休みね。今日はゆっくりと休みなさい
。空さんは大丈夫かしら?こんな大雨の中帰るなんて。」

ママはあたしの頭にキスをして、氷枕を傍に置いた。

「寒気が取れて熱くなって来たら当てなさいね。あとでまた見に来るわ。」

ママは、部屋の電気を消した。あたしはガタガタと震えながらも、どうやらいつの間にか眠ってしまっていたらしい。
暫くして夏が真啓を連れて、マンションへと帰って来た。

「あらら…二人ともこんなに濡れちゃって。さっ。真啓さんも早く入って。着替え持って来るから上がりなさい。」

ママは真啓にダディの洋服を貸すと、丁度サイズもぴったりだった。窓には叩きつけるように雨と風が当たり、ゴーゴーと音を立てていた。

「こんな雨じゃ帰れないから、夕飯を食べていきなさい。」

ママはキッチンで夕食を作っている途中だった。ありがとうございますと真啓は言い、家に電話を掛けた。ママはちょっと時季外れだけど、体が温まるからとホットチョコレートを二人に作った。

「華は?」

夏がふうふうと熱々のホットチョコレートを冷まし乍らママに聞いた。

「熱が出てね…お友達…なんだっけ…空さん?が連れて来てくれたの。意識も朦朧としちゃって、抱えて来てくれたのよ。」

「古水流くんが?」

真啓が驚いたように言った。

「ええ。39度ちょっとあるから、明日は学校お休みね。」

キッチンからふたりに話しかけた。ふたりは、マグカップを持ち、夏の部屋へと行った。

「ただいま帰りました。」「ただいま♪」

パパとダディが仲良く帰って来た。

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