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第5章 涙雨

「あら珍しいわね…二人一緒に帰って来るなんて。雨凄いでしょう?」

パタパタとママはキッチンから玄関へとやって来た。
パパとダディは、濡れたコートを脱いだ。ふたりともびしょぬれにならずに済んだらしい。

「僕たちは大丈夫だったよ。少し濡れただけ。」

ママはふたりのコートを預かった。

「華ちゃんが酷い熱でね…お友達に連れて来て貰ったのよ。」

ふたりとも、着替えもせずにバタバタと華の部屋へと行ったのを見て、相変わらず心配性ねとママが笑った。
「なんかとっても素敵な男の子に抱えて来て貰ったのよ。」

ふたりが帰って来た音を聞いて夏が部屋から出て来たのと同時に、パパ達があたしの部屋から出て来た。

「抱えて?」「男の子?」

パパとダディの顔に緊張が走った。

「大丈夫だよ。華が大嫌いな 古水流 空って同級生。ほら、イギリスからの留学生。」

夏が、また心配なの?と笑った。

「あら。そうだったの♪背が高くてとっても可愛かったわ。」

ママがにこにこと笑うと、パパは不機嫌そうに言った。
「華ちゃん…電話くれたらお迎えに行ったのに。」

真啓が出てきて、ふたりにお邪魔していますと挨拶をした。

「静さんでもガクさんでも、後で真啓さん送って来て下さいね。」

勿論ですとパパは嬉しそうに言った。

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