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第5章 涙雨

「それでも、とっても頑張ったと思う。僕も負けないように頑張らなくっちゃ。」

「そうだ♪伏見君のママのコンサート楽しみにしてる…けど、あんまりクラシック聞かないから今のうちにお勉強しておかなくちゃ。」

真啓は優しさがにじみ出ている顔をしている。手が大きくてあたしの顔を包めそうなぐらいだ。それに指が長くてとても綺麗。

「そうだ…うちの母も華ちゃんに会いたがってたから、今度家に来る?」

それに、話をしているといつもホッとするし、飾らなくて良いところが楽。逆に、あたしに気を取っても使ってくれているのかも知れない。

「ホント♪伏見君のお家とっても広くってCDがいっぱいあるって夏が言ってたんだよね。じゃぁ夏が行くときに一緒に連れてって貰うよ♪」

「華ちゃん…そろそろ伏見君てやめてよ。なんかよそよそしい気がするんだ。」

「じゃぁ…真啓くんとかまーくんとか?」

真啓は、まーくんなんて何だかちょっと恥ずかしいなと笑った。

「まひろで良いよ。それから…これ…僕の携帯とメアド。渡しておくね。」

あたしにそっとメモをくれた。

「わざわざありがとう。またお昼休みね♪」

「うん。」

真啓は昼休み、音楽室か図書室でいつも過ごしている。あたしは真啓のピアノが好きだ。心地が良くってついつい眠たくなっちゃうんだけど、優しい音がしてとても好きだった。

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