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第7章 空の秘密

―――夢。

いつからか、夢を見るようになった。気が付くと知らない場所をふらふらと歩き、突然出て来た強烈な光に俺は身動きが取れなくなった、瞬間、大きなブレーキ音。

…車…轢かれる。

あの人が慌てた顔で車から降りてくる音が聞こえた。そして、アイツ。

(ママ。お化けの正体が判ったよ。)

大きな目に可愛らしい柔らかそうな唇、その小さな胸に抱かれると、アイツの心臓の音が聞こえる。覗き込んだふたつの顔は、そっくりだった。

(大丈夫です…。)

声を出したつもりだった。

――― ニャァ。

…何だよ今の?

(おい。)

――― ニャァ。

…俺の声?ってちょっと待て。

「もう飛び出しちゃ駄目だよ…。」

アイツは俺を道の隅に置き車に乗ると走り去った。
水たまりに映った俺は…猫。

…そうか…これは夢。

家々のブロック塀の上を歩き屋根に上り長い間月を眺めていた。その美しさに曲が浮かんだ。

…が、俺って今…猫なのか。

曲のイメージを忘れないように口ずさんだ。

…目が覚めたら、すぐに書こう。

こんなリアリティに溢れた夢は初めてだ。アイツの黒い車がすぐ近くの大きなマンションの中に入ったのが見える。俺は屋根伝いにそのマンションまで行ってみた。俺はエントランスのドアの陰に隠れて待った。アイツと母親が車から荷物を持って出て来た。

「パパ達帰って来てるかしら?」

あの人が部屋のチャイムを押した。

…3010。

「あれ?まだ帰って来てないみたい。」

エントランスの自動ドアが開いた隙を狙って後を付けた。

エレベーターを待つふたり。

…流石に一緒だとバレる。てか俺は何をしてるんだ?

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