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第7章 空の秘密

――― パタン。

非常階段のドアが開いた。

「こんばんは。今お帰りですか?」

「あら管理人さんこんばんは。」

俺はするりと観葉植物の裏から抜け出し、階段へ忍び込んだ。

…しまった。

30階まで時間を掛けて来たものの、またしても扉。暫く待つと誰かの話し声が聞こえた。

―――ニャァーッ。ニャァーッ。

ドアの陰から啼いた。

「ちょっと待って…なんか猫の声がする。」

男の声だ。

―――ギーッ。

「違うよ…本当に声が聞こえたんだよ。」

どうやら携帯で話をしているようだった。扉が開いた瞬間するりと入り込み、3010号室を目指す。俺はどうしてそうしたのか分からない。だけど、そうしなくちゃいけない強迫観念の様なものに駆られていた。

…苗字が三つ?どれがアイツの名前だ?

綺麗な金文字の部屋番号の下には、3つの苗字が書かれていた。さっきの高校生がドアの前にやって来た。

「あれ?お前どこから入って来たの?」

そう言って俺をひょいと抱き上げた。

…男に抱かれる趣味はねぇんだけどな。

ドアが開き、アイツとあの人達が居た。俺は床におろされると慌てて、アイツの所に向かった。

「後で一緒にお風呂に入ろうねぇ♪」

…風呂…だと?俺がアイツと一緒に入るのか?

俺は思わずドキドキしたが、ただ俺を風呂場に連れて行き、アイツは洋服を着たまま俺を洗った。

…ちっ…期待持たせやがって。

「出来るなら、あの人とお風呂に入りたかったぜ。」

あの人はコイツの母親だった…がかなり若く見えた。

――― にぁー。にゃー。

「怖く無いよ~大丈夫だよ~。」

…にゃーにゃーしか俺…言えねーのか。

アイツは俺に優しく声を掛けた。風呂からあがり、ドライヤーを掛けられた。温かくて気持ちが良くてウトウトし始めた。

…そ…。

…空

…おい。起きろ。こんなとこで風邪ひくぞ。

誰かが俺のことを呼んでいた。






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