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第7章 空の秘密

あたしはその日、朝から調子が悪かった。

「顔色悪いよ?大丈夫?」

リツが体育の授業中、心配してあたしに声を掛けて来た。

「うん…女の子の日の2日目だから…怠くって。」

大好きなバスケの授業。男女に分かれてコートでそれぞれのチームが試合をしている。あたしとリツは、冷え冷えとした体育館の隅で他の女子達と無駄話をしながら自分たちのチームの出番を待っていた。

「スポーツしてる男子って3割増しに見えるよねぇ。」

体育座りをしていると、お尻から寒さが伝わってきて余計にお腹が痛くなる。2クラスが合同で授業が行われている。あたしたちのクラスと、夏と真啓が居るクラス。

「男子の方がスピード感が女子とは違うよね。」

リツは男子のコートを眺めていた。真啓も参加していたけれど、控えめにチームに居るだけだった。体育教師も入学した時から、ほぼ将来は、ピアニスト確定の真啓には無理はさせない。

…痛み止め忘れちゃったんだよな。

空は、同級生と話すが、何となく一人で居ることが多い。夏と空のグループの対決。女子達の視線は自然にこのふたりに集まる。

「きゃ~♪古水流くん 頑張って!」「小鳥遊くーん♪」

黄色い歓声で耳が痛い。

「次っグループCとD。」

体育教師があたしたちの方を見て叫んだ。

「さっ…頑張ろう♪」

リツがサッと立ち上がったのに続いてあたしも立ち上がった…つもりだったけど、周りが真っ暗になって、誰かの叫び声が聞こえた。

…あっと…なんか眩暈…?

―――― ゴンッ。

「先生っー!今泉さんが倒れました。」

体育教師が慌ててあたしに掛け寄った。

「おい!今泉っ大丈夫かっ!!」

男子も女子も集まって来た。

「俺…保健室へ連れて行きます。」

誰かの声がして、体がふわっと宙に浮いた感じがした。

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