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第8章 コンサート・デート

「あ…華ちゃん…ごめんね。」

真啓が慌ててあたしに謝った。でも、体を動かす隙間も無かった。

「こっちこそ…ごめん。」

顔をあげて真啓に答えたけど、思っていた以上に真啓の顔があたしの顔に近くて、お互いに慌てた。

「ふた駅だから、すぐだよ。」

しっかりとくっついてしまい、真啓の胸から声が響いてくるようだった。

…真啓って細い印象があったけど、結構がっしりしてるんだ。

あたしはふとそんなことを思った。駅について、窮屈な場所から解放されて、ひとつ背伸びをした。

「ここからは歩いて5分程だからね。」

凄く混んでて驚いたねと真啓が先を歩いてくれた。

「近くに美味しい喫茶店があるんだよ。よくお母様…あ。」

あたしは、ついダディと一緒に歩くときの様に、真啓の腕に手を絡ませていた。

「へーっ。真啓くんって、ママの事お母様って呼んでるんだ。」

…真啓らしい…な…って。

「あっ。ゴメンね…いつも一緒に歩くのが、リツやダディとだから、つい癖になってるの。」

あたしは真啓から慌てて離れた。

…恥ずかしい。ついいつもの調子で。

自分の顔がみるみる赤くなるのが判った。

「僕は平気だよ…華ちゃんさえ良ければ、気にしないで。」

真啓は静かに微笑んだ。

「ゴメンね…あたし男の人と一緒に歩くの初めてで…えっと…ダディーかパパとだから…あの…。」

「ほら…あそこがホールだよ。その隣が喫茶店。」

真啓が指さした先には綺麗に光る大きな建物があり、その隣には古めかしい喫茶店があった。

「見た目は…あれだけど、お店で焼いてるチョコチップ・クッキーがとっても美味しいんだよ。」

あたし達の向かい側にあるホールの周辺だけ、明るく温かみのあるライトに照らし出されて、とても綺麗だった。赤信号であたしと真啓は止まった。

「えっそうなの♪あたし食べたい。」

信号が青になり歩道を先に渡り始めた、真啓の腕にまたしてもあたしは、腕を絡ませた。あたしは慌てて離れたけれど、真啓は何も言わなかった。

「うん♪少しあそこで休憩してから行こう。」

あたしはついしがみ付かないように、真啓から少し離れて歩いた。

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