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第8章 コンサート・デート

会場は中規模の映画館ぐらいの大きさだった。

「コンサート前で、ママ緊張してないのかな?ご挨拶に行っても大丈夫?」

あたしは少し心配になった。

「うん。華ちゃんにとっても会いたがってたんだ。」

受付係が2人程立っていたが、真啓の顔を見ると、こんばんはと言って通してくれた。

「あ…チケット。」

「大丈夫。関係者席…家族席で、取ってあるから。」

真啓は優しく言って、ホールの中をどんどん進んだ。何度も来ているらしく、奥まった場所にある控室へと入っていった。大きな女優ミラーの前に座る真っ赤なドレスを着たすらりとした女性に真啓は声を掛けた。

「お母様。華ちゃんを連れて来たよ。」

真啓のママは、まるで女優さんのように綺麗だった。椅子から立ち上がると背がすらりと高くて、ぱっちりとした大きな目は、真啓にそっくりだった。少し面長な真啓の顔とは違いシャープで小さな顔は、まるでお人形さんのようだった。きちんと纏められた髪には、キラキラと光る髪飾りを付けていた。

…そう言えば、モデルさんをしてたって言ってたっけ。

「初めまして。今泉華と申します。」

あたしがぺこりと頭を下げた。

…綺麗な人…ママが心配しても良いレベルね。

「あなたが華さんね。真啓の母です。夏さんとあなたのお宅によくお邪魔しているそうで…今度、華さんのお母様にもご挨拶をしなくっちゃね。」

真啓のママが動くたびに、長いドレスの裾から、さらさらと音がした。

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