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第8章 コンサート・デート

パンフレットを貰って席に付いた。ほぼ満席だったが、ひとつだけ席が空いていた。

「あれはね…僕のもうひとりの亡くなったお父さんの席。」

真啓のママがコンサートの度に席をとるんだと教えてくれた。

「もうひとりのパパ…か。」

あたしにはふたりのお父さんがいる。ママとはちょっと違うけど、やっぱり亡くなった後もずっと愛されてるってとっても素敵だ。真啓のママがステージから出てくると、拍手が沸いた。真啓の弾き方に似ているけれど、力強いけれど、優しい音だった。あたしはクラッシックはあんまり知らないし、聞いたことが無い曲ばかりだった。

―――― こつん。

あたしはいつの間にか寝ていたらしい。真啓の肩に思い切り頭を預けて寝ていた。

「華ちゃん…華ちゃん…。」

真啓はあたしをそっと起こそうとしたけれど、ぐっすりと眠ってしまったらしい。

「華ちゃん…終わったよ。」

…あ…れ?

目が覚めると一瞬自分がどこに居るのか判らなかった。

「華ちゃん…おはよう。」

真啓が華の寝ぼけた顔を見て笑った。

…どうしよう。完全に寝てた。

「ごめん…また寝ちゃった。いびきかいたりしてなかった?寝顔間抜けだったよね。」

…あー。恥ずかしい。

「とっても静かにすやすや寝てたよ。」

真啓は優しく微笑んだ。帰りに再び真啓のママの控室へ寄った。

「真啓さん私は、打ち上げがあるから先に帰っててね。」

真啓のママはステージ用の化粧を落として、ナチュラルメイクになっていた。

…やっぱり…美人だ。

「うん。今日は華ちゃんと夕食を食べて送ってから帰るよ。」

またぜひお家に遊びに来てねと真啓のママは笑った。

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