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第8章 コンサート・デート

うん。だって犬とかでも手が大きい子は大きく育つって言うじゃない?」

「僕は、犬と同じなのかな。そんなこと言われたの華ちゃんが初めてだよ。」

真啓が声を出して笑った。

「あ…ごめん。あたしまたおかしなこと言った?」

チキンドリアの端を少し崩すと、湯気がほわっと上がった。

「ううん。華ちゃんを見てると、飽きなくて良いよ。」

暫くカトラリーの音だけが響いた。

「将来は、やっぱりピアニストだよね?」

毎日何時間もピアノを弾いてるって言ってた。それに勉強をして…なんて本当に大変だと思う。

「うーん。ピアニストか医者かなぁ。」

「お父さんが外科のお医者さんだったら、息子もお医者にって思うんじゃない?」

トロトロのチーズが歯の裏にくっつきそうになってあたしは慌てて水を飲んだ。

「両親は好きにしなさいって言ってるけど、本当は父は医者になって欲しいと思っているだろうね。」

真啓の義理のパパは外科医だと言っていた。

「両方になれば良いんじゃない?ピアニストとお医者さん。」

真啓は大きな眼で少し驚いたようにあたしを見た。

「あれ…あたしまた変な事言った?だって迷うぐらいなら、両方すれば良いじゃない。」

あたしは真面目に言ったつもりだったんだけど、真啓がまた笑った。

「華ちゃんには、かなわないや。」

「あたしは真啓くんのピアノが大好きだから、ピアニストになったらコンサートの度にチケットを買って、コアな真啓ファンになる。」

そうだリツがプロトタイプのインディーズ時代から見てきたように、あたしも真啓がピアニストになるまで見続けたい。

「でも…コンサート来てくれても、すぐ寝ちゃうんでしょ?」

真啓があたしをからかって、笑った。

「うーん。確かに。じゃぁどうせ後半は寝ちゃうから、チケット代を半額にまけてね。」

「あははは…華ちゃんと居ると楽しいよ。華ちゃんだけは枕と毛布を持参OKにするよ。」

それは思いつかなかったとあたしが言うと、華ちゃんは本当にしそうで怖いよと真啓が笑った。

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