一途とは
第4章 ごめん。
「あ!席空いたよ!」
「うん…でも、座らない」
「…なんでさ?」
「うーん…ダイエット中だから!」
…ダイエット中?
確かに、ぽっちゃりはしてるけど
りょーやってこんなに遠慮する人だったっけ
これは、あるな
「……そう」
なんとも言えない、気持ち悪い感覚で吐き出た言葉だった
隣が空いてるのに座らない彼氏
そして、あまり仲良くそうにも話さない
何でこんなに混んでるのに誰も座らないんだ?
どうしてだ?
きっと、日本人が得意としてる見えない壁を読み取ってるのだろう
日本人は敏感だと思う
でも、それが裏目にも出る
会議での意見の言いにくさ
とても守護的なところ
なんとなく、空気を読む力
日本人には母親から産まれ出た、その時から、すくすくとその力は育っていってる
それが役に立つ時も、もちろんあるが
もう、りょーやの駅まで着きそうだ
暗い田園風景が広まり、いきなり明るい都会になってた
ちょっと言いづらそうに私は言った
「…もう、着きそうね
今日はありがとうね」
すると、何かずっと考えていたのか、ハッと気付き
「うん!」
とだけ、満面の笑みで言い降りていった