一途とは
第4章 ごめん。
駅につくと、少し歩き、ロータリーがある
いつもの通り、そこにおじいちゃんが迎えに来てくれていた
通称、“じーじ”だ。
もう高2なのにこんな呼び方でいいのかと思う…
だから、外ではちゃんと猫をかぶって「おじい様」と呼んでいる
「ずいぶんと遅かったじゃないか」
「もうね、大学受験まで1年だからね!
ちゃんと自習してきた!」
嘘ばっかし。
「そうかそうか
ちゃんと充実したならいいんじゃないか?」
つくり笑顔で、わざと入れ歯の白い歯を見せて言った
思わず笑ってしまった
「はふふふほほほほ…!」
「まーったく、どんな笑い方しちゃる」
お、今日はじーじの機嫌がよろしい!
楽しい会話も過ぎ、家に着いた
「ただいま~」
「おかえり~
今日はずいぶんと勉強してきたのねー」
お母さんは洗濯物を畳みながらこっちを一生懸命向いていた
「まぁ、ね…」
笑ってごまかす
家族紹介がずいぶんと遅れたが
うちの家は二世帯住宅。
下にはじーじと“おーま”…“おーま”はおおままだから“おーま”
上には、うち、まま、ぱぱの三人暮らしだ。
一人っ子で一人娘のため、両親とはよく言い合いになる。
ぱぱとは顔も合わせないし、もちろん話さない。
それにはちゃんと訳がある。
下にも上にも愛犬ラッキーと龍太がいる
帰ってきてもきやしない
どーせ、ぱぱの膝の上だろう
これが当然だみたいな顔して
そそくさと自分の部屋に入った。