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sugar-holic2

第10章 忘れていた『約束』《倉田side》

「倉田くん?」

目を開けば、驚いたような、戸惑っているような表情で俺を見てるあの人がいた。

「…え!?」

何で?

さっき部屋から出て行ったはずなのに。

「あ…猫は?」

「猫?猫って?」

訳が分からないといった顔でそう言われて。

周りを見回し…あ、ベッドも水に濡れた様子もなく、そのままだ。

じゃあ、あれは夢か。

大きく息を吐き、頭を振った。

「猫の夢でも見たの?」

「…だな」

「倉田くんって、猫、好きだっけ?」

「いや、そうでもない」

「ふぅん」

首を傾げて俺を見たあと、クスリと笑いをこぼす。

そんな姿はいつもと変わらなくて…

夢の中と、目の前にいる人。

まだ頭がボンヤリしているせいか、比べても仕方ないものを比べてしまう。

立ち上がった姿をみて、やっと気付いた。

「浴衣…?」

「あ、うん。色浴衣、貸してくれたの」

旅館の浴衣にしては色目が鮮やかな、白地に赤と紫の花が描かれた浴衣を着ていた。

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