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sugar-holic2

第10章 忘れていた『約束』《倉田side》

どう?とでも言いたげな目線に、

「まあまあかな」

澄ましてそう言っておくけど。

何で一目で気付かなかったんだ?

服装とか髪型とか、普段なら一発で見抜くのに。

こんなあからさまに分かりやすいものが、何で…?

俺の答えに、眉を上げてニヤリと笑うと

「まあまあ似合ってる、って事ね」

一人で頷いて納得してる。

…ま、否定はしないけど。

ベッドから降り、生欠伸をすると

「結構すぐに眠っちゃったけど、どう?スッキリした?」

夢の続きのようなセリフを聞かされて、どくんと心臓が痛くなる。

「ああ…寝入って悪かった」

素直に謝ると、一瞬驚いたように目を大きくして、すぐに頬を緩ませると

「体が休められたなら良かった」

そう言って笑った。

夢の中のあの人とは違う、優しい微笑みにホッとして…

そんな自分に戸惑う。

一人の女の言動にこんなに振り回されるなんて。

おかしくないか?

いや、おかしいだろう!?

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