テキストサイズ

sugar-holic2

第11章 約束を叶えるために

え?何してるんだろ?

気になってそっちを見ると、倉田くんが私の下駄を履きやすいように並べてくれていた。

「え!?あ、ありがとう!」

そんな事をしてもらえると思わなくて、慌てて立ち上がると

「手。支えるから」

私の手を引いて、下駄を履くのを手伝ってくれた。

「おっ!!兄ちゃん優しいなぁ」

おじさんが感心したように声をあげる。

下駄の鼻緒の位置を合わせるまで、手を掴んで支えてくれて…

人前でこういうのがスマートに出来るって、凄いよね。

鼻緒を見てるふりして下を向く。

気恥ずかしくて、照れくさくて…顔を上げられない。

「もう大丈夫?」

「う…うん」

手を離されて少しホッとしながらも、何処かでさみしく感じていると

「じゃあどうも。お先です」

おじさんに声をかけて会釈をして、私の肩に手を回した。

「え!?」

驚いて倉田くんを見上げると、余裕の笑みを浮かべている。

「行きますよ」

「うん…」

クスッと笑って、私の背を押すように肩に回した手に力を込めてきた。

「じゃあな」

手を振るおじさんに会釈すると、倉田くんに押されるまま歩き出す。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ