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sugar-holic2

第15章 聞き酒

眉を潜めて唇を尖らせると

「分かった。勝ったら、名前で呼ぶから」

…え?

ぽかんと倉田くんを見続けてしまう。

そんなの…今さら?

「何?」

「ううん、別に…」

そう言えば、ずっと『アンタ』としか呼ばれてないけど。

でも、そういう呼び方をしたいのかなって思ってたのに。

名前で…?

倉田くんに名前で呼ばれるのを想像する。

どんな声で、どんな表情で私の名前を呼ぶの…?

「へ…別に、景品じゃなくても…」

「前に名前で呼ぼうとしたら、素早く拒否したよな」

え?

倉田くんの言葉に、キョトンと見返した。

え?いつの話?

全然覚えてない。

…だから?

だから『アンタ』だったの?

じゃあ、『アンタ』って呼んでた時も、ずっと…名前で呼びたいって思ってた…の?

「えっと…あの」

どうしよう。嬉しい。

頬が綻んでしまうと

「ま、当たったらだけど」

え!?

④を飲んで、倉田くんが首を捻っている。

え?分からないの!?

簡単だって言ってたよね!?

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