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sugar-holic2

第15章 聞き酒

二つある片方に注いだあと

「倉田くんは?飲むでしょ?」

「そりゃあね」

小さく頷くから、お猪口の片方を手渡しした。

「どれにする?」

「同じもので」

どれを飲もうか考えて、とりあえず④を注いだんだよね。

倉田くんにお酌をしながら、気になった事を聞く。

「二人とも当たった、ってことはさ」

「ん?」

「勝負はどうなる訳?」

注ぎ終わって瓶をテーブルに置くと、倉田くんがお猪口を差し出してきた。

お猪口を軽く打ち合わせて乾杯をすると、

「どうしたい?」

くいっと一息で飲み干した倉田くんが、探るような目付きで聞いてきた。

う…。この目、ズルい。

倉田くんのこういう顔、弱いんだよね…。

「名前は…倉田くんが呼びたいなら、いいよ?」

名前で呼ばれるの、意識すると照れくさいような気もするけど…

でも、いつまでも『アンタ』ってのも嫌だし。

そんな事を思っていると、倉田くんが眉を上げて尋ねた。

「俺だけ?」

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