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sugar-holic2

第17章 借りは返す主義だから

亮くんが一礼すると

「チェイサーはどうされますか?」

カウンターの向こう側からマスターが声をかけてきた。

「ミネラルウォーターも軟水と硬水が選べますし、炭酸水で楽しんでいただいてもよろしいかと」

「あ、じゃあ…炭酸水で」

「かしこまりました」

マスターはにっこり微笑むと、亮くんに目配せして、シェーカーを手に取った。

あ、今日はマスターがカクテル作ってくれるんだ。

その所作に目を奪われていると、友紀が感嘆の声を上げる。

「すげ。本格的」

思わず笑いをこぼし、亮くんを見れば…

「亮くん?」

ため息なんかついちゃって…気落ちしてる?

「失態1」

私を見て、苦笑いを浮かべてポツリと呟いた。

「初めてウイスキー頼まれたお客さんにお伺いするの。で、好みを覚えるんだけど…抜かった」

ウイスキーとショットグラスを準備しながら肩を落としているから、

「まだまだ勉強だね」

笑いながら励ましの言葉をおくると

「…です」

亮くんも少しだけ頬を緩めた。

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