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「お待たせいたしました。スクリュードライバーです」

マスターがカクテルを前に出してくれた。

「ありがとうございます」

会釈をして、マスターはまたカウンターの奥に戻っていった。

「お待たせしました。富士山麓とチェイサーです」

友紀の前にグラスが二つ並ぶ。

こうして見れば、亮くんだってバーテンダーとして頑張ってるのは分かるんだ。

「亮くんはいい人に習えて良かったね。上司がいいと伸びるって言うし」

私の言葉に、亮くんは困ったような笑いを浮かべ

「じゃあ倉田さんも伸びますね」

「ん？」

友紀がショットグラスを口元に運びながら、目線で問いかける。

「梢ちゃん、いい人だから」

亮くんの言葉に、あぁ…と呟くと

「いつまでも下にいるつもりはないけど」

そう言って、ニヤリと笑った。

え…？どういう意味…？

初耳の言葉に狼狽えてしまっていると

「あ、そうそう。君が練習に付き合ってくれたお陰で、旅行も楽しく過ごせたよ」

友紀が亮くんに話しかけた。