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第14章 はじめて。


A side



バスルームを出てリビングに戻ったけど、にのちゃんの姿が無い。


飲みかけの缶ビールがキッチンに残されていた。


A「にのちゃーん?」


ココに居ないなら、寝室だろう。
真っ暗な寝室を覗くと、焦ったにのちゃんの声。


オレンジ色の落ち着いた照明が付くと、不安そうにこちらを伺う可愛い猫が現れた。


にの・・・?
真っ黒な耳が、にのの綺麗な黒髪にちょこんと生えている。
布団にくるまっているが、白くてスラリとした色っぽい足が覗いていてドキリとした。
しかも・・・


A「シッポ・・・」


足のそばに、耳と同じ真っ黒なシッポが見える。
え・・・ウソだろ、にのちゃん猫になっちゃったの?!
すげー可愛い!!


にのには何言ってるんだと呆れられたけど、一瞬本気で実は猫だったのか!と思ってしまった。
だってすごいリアルだし、似合い過ぎてるんだもん。


今すぐ押し倒したい衝動を抑え、優しいキスを落とす。
軽いキスだけで、とろとろに蕩けるにのの体。
猫耳のせいかな・・・?
にのの表情がいつもより幼く、頼りなく見えて俺の心がざわつく。


閉じ込めたいと言う俺の軽口に、
ウルウルの瞳で閉じ込めて良いよ、と返すにの。
その瞳の奥が切なく揺れていた。


なに、その表情・・・
もう止めらんないよ。


もう、我慢できない・・・
優しくできない・・・


にのの後頭部の髪をギュっと掴んで、強引に開かせた唇に噛み付くようなキスをした。


N「ふぁっ・・・、んんぅ」


腹が立つ程可愛らしいにのの甘い声。
首筋から手を入れ、くるまっている布団の中の滑らかな肩や背中を撫でる。


N「ぁっ・・・・・」


布団をどけようとすると、小さく抵抗された。
腰までズレ落ちた布団を両手で抑えるにの。
太ももに長いシッポがするりと絡んでいて、なんともエロい・・・



その可愛い抵抗も不安そうな瞳も、演技か?
・・・演技じゃなかったとしたら怖いな。
こんな可愛い恋人を俺以外の奴の目に触れさせたくない。

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